「寒い~」

女物の着物は、暖かそうだが
ぷるぷるしながら、両腕を擦る山崎


「仕事だと思え!」

「嫌や~なんで、沖田の団子の為に~」

「女性ばかりしか入らないそうなんです
僕達は、お付きの者ということですから」

「寒い~温かいぜんざい!
早う食べたいわ~」




店に到着して、温かいお茶を両手で包み

幸せそうにする


「そんなに寒いか?」

「うん 寒い」


素直に言って、隣に座る俺を見上げてきた

やばっ


ドキッとするじゃねぇか!!!


「風邪ひくなよ」

「なら、連れてくるなや」

「山崎君ぜんざいもおいしいと評判だから
我慢して下さい」

「春になってからでええやんか~」

「もう少しの辛抱だ」


背中を擦ってやると


「早う、帰りたい~」


こんなに素直に泣き言を並べるくらい

苦手とは



総司が駄々をこねたのは、昨日のこと

誰も行きたがらないので

山崎を誘いに来たのだ


「僕は、仕方なく山崎君を誘ってるんだ」


と、言いながらも真剣にお願いをした


山崎が首を縦に振った


「俺もついて行こう」


なら、最初から来てくれたら!と総司が
言っていたが


俺は、山崎が心配なだけ


仕事以外で、山崎といたい


ただ…それだけだった