【土方歳三】


山崎のおかげで間者の粛清が出来た

朝廷から褒美も出た

隊士の数も増えた

その分、山崎の負担も増えた



相変わらず、幹部らとの
距離感は変わらない


佐々木さんが来たときに
山崎が普通に喋った

あの時…


幹部らだけじゃない
俺もだ


普通に笑っている山崎は


どこからどう見ても、やはり女子で
なんで、幹部らが気づかないのか

不思議でたまらない









「土方!!烝を貸してくれ!!」





佐々木さんが幹部会議に乗り込んできた





「一ツ橋公が大阪入城される!
土地勘のある者の助けが欲しい!!」




「山崎」



シュタッ



「はい」

「烝!!」


佐々木さんがばんばん肩を叩く
山崎は、顔を歪めて


「いったいなぁ!!やめえや!!」

「烝!!俺を助けろ!!」

「話は、聞いてたけど嫌や!!」

「はぁ!?お前の上司に頭を下げ
きちんと筋を通してんだぞ!!」

「頭下げてへんやん!!」

「烝!!一緒に大阪行こう!!」

「なんで只三郎と… 面倒や…」

「明日、返事を聞きにくる!!
言い忘れたが、松平様が謝礼を出すと
仰せだ!じゃあ!いい返事待ってるぞ!」





はっきり言って、人が増えた新選組には
金が必要だ

山崎は、それを知っている


「断ってやろうか?」


珍しく、行きたくないって表情ををした

嫌だとも言った


特別扱いは、しないつもりだが


あまり、メンが割れるのも困る



「いえ… 組の為になるなら、行きます」

俺が気をつかったことで、かえって
断れなくしてしまったようだ

「聞いていいか? なんでそんなに
嫌なんだ?」

答えないと思ったが

意外なことに


「新選組かて、借り出されるはずやのに
なんで、只三郎の手伝いやねん
って、思っただけです
支度しますので、失礼します」


天井に戻って行ったあと



「珍しいね…」

「素直だな…」

「なんか…元気なかったな」

「断ってやった方がいんじゃないか?」



皆が山崎の素直な行動に、ある意味

ドン引きしている



「行くっつってんだから、いいだろ」




我ながら、子供じみた物言いだ

皆が山崎の心配するのが

気にくわないなんて