【土方歳三】




バタッ



振り返ると…

ついてきていたはずの山崎が

随分離れた位置で、倒れていた

慌てて皆で駆け寄る


俺が、抱き起こすと


「なに戻って来てんねん」


弱々しい声だった


「山崎くらい俺が担ぐって言ったろ!」


永倉が山崎を抱え


再び歩き始めた


途中、休憩して水を飲ませた


「副長……お願いがあるんやけど」

「なんだ?」

「海の臭いがするまで……
それまで生きるから、死んだら
海に水葬してくれへん?」

「江戸の桜は?」

「代わりに見てきて」

「なんで、水葬なんだよ」

「誰も追ってこれへんやろ?」


俺たちのまわりに幹部らいて
ジッと会話を聞いていた


「ずっと追われる夢ばっかりやってん」

「海で死んだらな」

「うん」


山崎がグイッと俺をひっくり返すと

クナイを投げた


バアーーーン



原田が仕留めた





「山崎!!!」


近藤さんが打たれた場所と同じところを
打たれていた


ドクドクと出血が…


「早く大阪に行こう!!!」


松本先生に、治療してもらわなければ!


「しっかりしろよ!山崎!!!」



いくら声を掛けても

浅い呼吸で、息が白くなるだけで

返事は、なかった