大阪出張から戻り、数日後



斎藤と永倉新八が町の巡察をしていた時
不逞浪士により、新入隊士が怪我をした


「つばをつけとけば治ります!」

「治るかアホ!診してみ?」

「其方は、大阪の!!」

「ん? 斎藤か?奇遇やな…」


テキパキと傷に薬を塗り、包帯を巻いた

「斎藤の知り合いか?」

永倉が斎藤に声をかけた

「大阪の恩人だ」

「あー?総司が、言ってた奴?」



永倉が顔を覗き込んだ



「確かに、女子顔だな!!」

「ふんっ!美丈夫や言え!!」


永倉は、薬売りの事が気に入った


「俺は、永倉新八!!よろしくな!!」


ニカッと笑って薬売りの頭にポンと手を置いた


チラッと永倉を見上げ


「わいは、人と馴れ合う気はないさかい
気安く触らんといてんか」



その目の冷たさと
妖艶さに、永倉と斎藤がたじろぐ

スッと永倉から離れ、荷物を持つと

薬売りは、去って行く



はっ!と我に返り、永倉と斎藤が
薬売りを追いかけたが
角を曲がった途端


薬売りの姿は、なかった