浪士組の皆は、当然
男が男に口づけされたので、ドン引き

姉様方やらは、恐怖でドン引き

ワイは、土方副長に抱きつかれてるし

何? この空気


「あの… そろそろ離して下さい」

遠慮がちに副長に言うと


抱きしめられたまま

副長の左手がオデコに


これまた冷やっこい


「いつからだ?」

「へ? あぁ夏風邪みたいで…
一昨日くらいですやろか」

「何で言わねえんだ!!馬鹿野郎!」

ぐるりと肩を回されて

土方副長の顔が真ん前で…

近っ!!


「すんまへん…大事ないですし」

「これだけ熱が高くて、大事ないわけねぇだろうが!置屋まで連れて帰ってやる!」

「へ?嫌…そないに心配されるほどや
あらしまへんえ」

スッと伸びてきた手に、ちょっと驚いた

「わぁ…高熱ですね
すぐに医者にかかったほうがいいね
土方君、番頭さんらには説明するから
ささっ 連れて帰ってあげて下さい!」

山南副長に強引に、部屋から押し出された


「屯所に帰るか?
それとも、置屋で休むか?」


「置屋の方が安全やろか?」


「そら、間違いねぇな
屯所は、うるさい奴が三人いるからな」


ふぅーと息を吐き、オデコに手を当ててみた


「そないに熱あります?」

「は?自覚ねぇのかよ!?」

「へぇ ちょっと怠いけど」



とぼとぼと置屋まで歩いた

屯所より、断然こっちの方が遠い



置屋の自室に横になり、呼ばれた医者に
診て貰い、夏風邪と言われ

自分が処方した薬と同じものを貰い

ゴクリと飲み

布団に入った


「じゃあ、俺は帰るからな」

「おおきに」


土方副長が、ペチッと冷たい手ぬぐいを
乗せ換えたあと

チュッ


「消毒だ」


と言って、笑った


や? 消毒ってなんやねん!!!




「ちゃんと寝てろよ!良くなったらこい」




たった一晩で、二人の男に口づけされた



熱が下がるまで、二日間



モヤモヤした



どの面下げて、屯所に帰ったらええねん…