山崎が連れて来たのは




「皆の健康と活躍を祈るねん」


願いの叶う寺らしい

そして、もう一つ行きたい所があるそうだ


「ちょっと……休みたい」


茶屋の椅子に座らせる


「悪ぃ歩くの速かったか?」

「うちが遅いねん
土方さんは、そのままでええよ
生きてる限り、うちがついていくさかい」


お茶を飲み、団子を半分づつ食べる



「んー!復活!!」


総司並みに甘いもの好きな山崎は、上機嫌


再び、目的地へ向けて歩く

そして、とある一軒家を遠目に見る

子連れの親子三人が、仲良く家の前で

遊んでいた



「俺が新選組に引っ張らなかったら
お前にも、あんな暮らしがあったのに」


「あれ、うちの家やねん」


「え?」


「ここまで、掃除にくるのもしんどいから
あの親子にあげたんや
火事で住むとこもなんもなくなったそうで
君ちゃんとうちと菊の着物
生活道具一式そのままやったから」


山崎の見ていたのは、親子ではなかった



「嘘やったにしても、女として幸せやった
それに、総ちゃんと恋仲になったんも
あの家やねん
最後にもういっぺん見たかったんや」



嬉しそうに笑った



「それにな、こんな格好するんも
もう最後やろ?
土方さんやったら、こんな女がおったて
覚えててくれるかなってな?」


「俺は、お前に惚れてんだから
忘れるかよ!?」


「この後、何処行く?
なんや、真っ直ぐ帰るん勿体ない!」


「そうだなぁ~」



考えていると



「…っくしゅん!!」


「ぶっはっ お前、本当駄目だな!」

「歩いてたら暖かいけど、立ってたら
寒いねんもん!
はよう決めて!寒い~!」

「あっ!前に総司と行った甘味屋行くか?
温かいぜんざい食べ損なったろ?」

「行くぅ~!!!ぜんざい!!!」






楽しい逢い引きだった






翌日






幹部らを集めた


「山崎を大阪にやろうと思う」