【土方歳三】



慶喜様から、謝礼として千両送られた

売り物じゃねぇーつーの!

「不本意ですが、お役にたてたようです
助かりましたね」

「呑気な奴だな!!おめぇが物みたいに
扱われて俺は、腹たててんのに!!」

「本当、おかんやな…」

「おめぇなぁ…
慶喜様がいくら寂しそうだったからってよ
俺が、同じ台詞を言って
俺とそういう仲になれねえだろ?
……謝礼が出ること見越したな?」

「それは、当たり前です!
好きでもないのに、ただで寝ません!」


開き直りやがった…


「ばあーか」

「クソガキ」

「主にクソガキはねえだろ」

「どっちか言うたら、おかんやけどな」


この減らず口をどうにかしたいものだ


しかし、千両も…


大政奉還されなければ


もっと出してくれそうだ


山崎には、それくらいの価値がある




「もう、体売ったりすんなよ」


「はい」


「慶喜様は、何か言ってたか?」


「朝廷に赴すれば、それなりの役につける
その約束は、あるが…
油断ならんと、不安がってましたよ」



完全に吹っ切れたわけではないが

慶喜様とのことを聞けるようになった

思い出させて、辛いかもしれないと

思いつつやはり、情報が欲しいもの



「慶喜様が、役についてくれればいいが
やすやすとそれを許すはずもねえよな」

「そうですね
少し、御所内を探りましょうか?」

「……いや、危ない橋は渡らぬにこしたことはねえ
いくら古巣とはいえ、間者だのと疑われても困る」

「わかりました
では、失礼します」



もっと早くに、病に気づいてやりたかった



心の臓は、特効薬がない

労咳よりも早く死に至る

一人で悩ませて…

ごめんな