【土方歳三】



久しぶりに山崎が笑ったが

なんで、そんなに哀しそうなんだ



「副長 ちょっと口滑らします!」



吉村が、現れて早々ヘンな宣言をした


「沖田さんと山崎さんなんですけど…」


興味深いじゃねぇか!


「喧嘩ではなくて、どうやら沖田さんが
一方的に山崎さんを傷つけるような
酷い言葉を言ったそうです
山崎さんって、何かと真に受けるでしょ
どんな言葉か知らないけど
沖田さんが思っているはずないとか
考えなさそうでしょ」

「良い情報だな」

「でしょ!」

「吉村、明日、総司のとこで
もう一度口を滑らせろ!
山崎が、総司の事を好きだから
俺をフッたとな!」

「それ、本当ですか?」

「つい半時前の事だ
さっさと元に戻りゃ、労咳なんざ
気持ちで治るだろ!」

「そうですね!伝えます!」



伝えます???


















【沖田総司】



「沖田さん!土方さんが山崎さんに
フラれたそうですよ!
山崎さん、沖田さんが好きだからって!」

「なんで、そんなに楽しそうなの?
……それに、どこで聞いたの?」

「副長からです!
沖田さん達が、さっさと元に戻れば
労咳も治るだろ!って、言ってましたよ」

「土方さんから、頼まれて来たわけ?」

「なんでわかるんですか?」

「だって、僕……馬鹿じゃないし」


吉村君って、わかりやすいもん


「それ、聞いても
僕…困るんだけど……
ここから動けないんだから」 

「文とか」

「僕、書く物持ってきてない」

「伝言とか」

「直接言いたい」

「我が儘ですね」

「労咳が治ったら、ちゃんと言うから
気にしないでよ
でも、僕があの日言った言葉が
本心じゃないって、伝えてくれる?
屯所に戻ったら、謝りたいって
言ってたよぉって」

「わかりました!!!
伝えますね!!
返事があったら、すぐ来ますから!!!
なくても来ます!!!
今日、沖田さんに渡してくれって
頼まれたもの忘れて来たので!!!」


監察方として、そのおっちょこちょいは
どうなの?


とはいえ、僕は吉村君が来るのが

楽しみだった


「はい これ、斎藤さんから
あと、永倉さん、原田さんに井上さん
それから……」


こんなにたくさん……


「それと!山崎さんから」


ドキドキ


「待ってるって
あの人、口下手すぎですよね…
でも、笑ってましたよ!」

「そう ありがとう!」




僕の体は、単純だ


微熱もなくなり、咳も幾分落ち着いた


伊東さんの件が終わったころには


帰れそうかな




早く、治して




僕の気持ち、伝えたいな