【沖田総司】




僕が部屋に戻る前

庭を掃除していたはず


コトン


箒の倒れる音に、違和感を感じ

外へ



まだ掃除が終わっていないのに

烝の姿がなかった


「土方さん!!!烝がいない!!!」


屯所内の小屋で烝を見つけた

着物を脱がされ、殴られたのか

口角は切れていた


すぐに烝に乱暴した隊士を捕まえた


土方さんが烝に着物を掛けて

声を掛けるけど、静かに涙を流して

記憶を失った





記憶が無くなり

辛くなくなったから?

食事を食べれるようになり

吐くこともなくなった




それは、生きる為の手段のように思えた


女中らと仲良く明るい笑い声が聞こえる


ふたつきたった

そんなある日のこと



集められた幹部の前で、難しい顔の

近藤さんと土方さん


「山崎君が…懐妊したようだ」


近藤さんから衝撃の言葉


「どこから聞いたのか
自分が君菊で、俺と恋仲だと聞いたようだ
俺の子として、産ませようと思う」


「皆… どうか、話を合わせて欲しい」



近藤さんと土方さんが頭を下げた



襲われて出来た子だなんて、言えるはずないし、これ以上






烝の涙は、見たくない