たった一晩たくさん話をして

また烝が御所に呼び戻された


昨晩、寝なかったことで

体調を崩さないか心配した


「三日くらい起きてても平気やで」


あっけらかんと返してくる


「自分こそ、体調崩さんといてや?
相部屋やっても、そばにおられへんから
心配してるんやで?」

「烝のくれた薬を飲んで、たくさん寝るようにしてるから!大丈夫だよ!」

「次、いつ会えるかな…」

「怪我しないでね
待ってるからね」


烝から口づけをしてくれた


「さみしいなぁ」

「僕もさみしいよ」


素直に弱音を吐けるほど

僕らは、寂しかったんだと思う








烝が御所から戻ったのは、夏の終わる頃

やっと、帰って来たのに


長州へ向かう、近藤さんと伊東さんについて、道案内と探索しに行くことになった


出発の前夜、土方さんの部屋に試衛館の幹部だけでの集まりがあった


「山崎…あちこち悪ぃな」

「いえ、長州に行ったことがあるということが、役に立つとは思ってませんでした
どんなことでも、お役に立てるなら
喜んでお受けします」

「心強いよ!山崎君!!」


皆が談笑している時

僕ですら気がつかなかった

物音に烝が反応した

身振り手振りで土方さんに伝える

〝上に誰かいる
庭に落とすから、よろしく〟

と言ったようだ


刀に手を掛けた

烝が上に上がったと同時に、僕らは庭へ