世界を敵にまわしても

今まで、私にとっての高塚君は、あまりに遠い世界の人だった。




顔もじっくりと見たことがなくて、声も近くで聞いたことがなくて、ひたすら気になっていただけだった。




芸能人や他国の皇太子に憧れるような。



漫画や小説のヒーローに憧れるような。



現実味のないものだった。



『恋』じゃなくて『憧れ』



『好き』なんじゃなくて『ファン』