世界を敵にまわしても

「あの事件の後、高塚君と目が合う回数増えたでし ょ?
あの人、たまにリカのこと見てるよ。
まったく、そんなに心配してるなら声かけろって話だよね。
でもさ、今は受験に集中したいんだよ。
それにリカには残酷だけど、彼女が大 切だからっていうのもあるだろうし。
だから、彼の気持ちも汲んであげよう?
リカの気持ちは少しも雑に扱われてないんだから。ちゃんと彼に届いてるんだから」



そう言って、エミは私を抱きしめてくれた。



そし て、耳元でそっと囁いた。



「高塚君、優しくていい男じゃん。
リカは見る目あったんだね」