「…梭冴くん、ありがと。」




ゆっくり俺から離れると、自分で顔を両手で覆った。


涙を拭ってあげられなかった…


ただ、見てただけだった。


どうしようも出来ずにいた。



そっと杏ちゃんの腕を掴み、降ろしてみると…


赤く腫れた両目が見えた。




「放課後で良かったー!」


『杏ちゃん…』


「そんな顔、しないで?
私みたいに笑ってよ!」




ニコッと口角を上げて笑う杏ちゃん…