「好きです。」

秋の冷たい風が頬をなでる
校舎を背に聞こえてくるのは
俺の好きなあいつの告白の声

「ごめんなさい」

そして嫌いなやつの声



口が動いてた
遠くを悲しそうに見つめる
初めて見た顔
方向には俺の相棒で嫌いな奴

「お前奴のこと好きなんだろ」

言うつもりはなかった。
口が勝手に動いていた

「えっ!?」
あいつの顔は肯定を指していたと同じようなものだった。

「バレバレなんだよ」

止まれ

「顔が女の子って感じ?」

止まれって

「手伝ってやろうか」

止まれよ

いくら待ってもいくら茶化しても

否定の声が来ない。

ダメだ、笑え、悟られるな

「…人の好意は受け取れよ」

マジ何言ってんだろ…俺

「あんただって好きな人ぐらいいるでしょ」

…あ、好きなんだ、
分かってた。

しっかりとした肯定は来ないが肯定と受け取れる言葉が俺にどんどん降りかかる。

「…いるよ」

目の前に、
いつから好きかもわかんない人が
ずっとずっと見守っていた
俺の「好きな人」

最後の最後で顔を見れなかったかも



「私戻る」

なんで?ちゃかし過ぎた?

「えっ!?ちょっと!」

行かないでという心の声と
言ってくれてよかったの心の声が葛藤する。

どうすればいい

どうすれば…





どうしたら、
良かったんだろう…


好きなんだ、奴の事

知らなかった

苦しい

なんで、

なんで俺じゃないの…