「好きです。」
校舎裏
秋の冷たい風が頬を優しくなでる

「ごめんなさい」

断られたのに何も感じない
当たり前だろう、

だって好きじゃないんだもの。




「お前奴のこと好きなんだろ?」
「えっ!?」
好きな人の口から出た「好き」という単語。
でも私の欲しい言葉じゃなかった。

「…なんで?」
「だっていつも見てんじゃんバレバレだよ、幼馴染みなめんなって!」
全然わかってない。

奴とコイツがいう人はいつも女子に囲まれ黄色い声を上げられている。
私は奴の“取り巻き”を見ているのだ。
「好き」と伝えてプレゼントを送る
それをいとも簡単にこなしているあの子達を。

私には出来ない。

「…違うかもよ、」
「違わない、あのお前が女の子の顔してた」
どんな顔だよ、
「…告んねーの?」
「っ!!バカっ!」
最悪。
デリカシー無いのかコイツはニヤニヤするな、

「俺テニス部なんだけどさ」

知ってる、「奴が居なかったらAだった」って愚痴ってたじゃん

「へー、そうなんだ。」

「喋ったはずなんだけど、
奴、俺とペアなんだよ、
仲いいし取り持とうか?」

知ってる
もう喋んないで

「人の好意は受け取れって」

止めて
私が好きなのはあんたなのに…
なんで…
バカにしてっ…

「あんただって好きな人ぐらいいるでしょ!」

「…いるよ、好きな人」


知らなかった。

止めてよ…


こっち見ないでよ…

あ〜、自分で言ったくせになに動揺してんだろ

一番聞きたくなかった言葉

いるんだ。



「私戻る」

「えっ!?ちょっと!」

泣いちゃダメだ

泣いちゃ…

溢れちゃうから

心の叫びが

痛いよ…