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最初から飛ばしすぎた様で、既にあたしの体力は限界だった。
休憩がてらに煙草を吸おうと灰皿が置かれている場所へと移動する。
踊っている間も見知らぬ男の人達にお酒を奢ってもらってはかなりの量を飲んでいたので既に足元はおぼつかなかった。
つい先程、新たに奢ってもらったカクテルを片手にタバコに火をつける。
煙は怪しげな光で照らされたホール内をゆらゆらと昇ってゆく。
久々にやって来たこの空間が、雰囲気が更にあたしを悪酔いさせ気持ちを高ぶらせていた。
「お姉さん可愛いね。
いくつなの?」
耳元で甘い声が聞こえたかと思うと見知らぬ男があたしの肩を抱きながらニコリと微笑む。
これで何度目かわからないナンパにあたしは少しうんざりしていた。
昔はナンパされてナンボだと思っていたのに…
やっぱりあたしはいつの間にか勢いが無くなってしまっているようだった。
あたしと直美がまだ高校生だった頃は
毎日のように2人でクラブに通っていた。
当時16歳だったあたし達は本来ならクラブには入れないのだけれど、それぞれの姉から身分証を盗んでは平気で詐称していた。
幸いあたしも直美も実年齢よりも年上に見えるらしく、セキュリティに引っかかる事はなかった。
あの頃はのあたしは過去一番と言っていいほど
男癖が悪かったと今になって思う。
自分好みの人から声をかけられれば彼女持ちであろうが妻子持ちであろうが関係なく一夜を共にした。
けれどそれは快楽を求めての事ではなかった。
確かに多少なりとも快楽を求めている部分はあったけれども、何よりもあたしは愛を求めていた。
