「私は一向に構わないよ。
まぁ…圭が本気でもう一度家を出たいならの話だけれどね」
彼女の口角がニヤリと釣りあがる。
直美の事だ。
あたしからの返答がどういうものなのか、
だいたいわかっているのだろう。
「よし、そうと決まれば今日からだね」
しかしあたしは彼女の斜め上をいく返答を返し今度は直美が目を丸くする番だった。
「今日!?
私は構わないけど…荷物はどうするのよ」
まさか今日から来ると言い出すとは思わなかったのだろう。
「荷物なんてそんなにないよ。
第一そんなに荷物を持ってきてもココに入り切らなきゃ意味無いしね」
直美の借りているこの部屋は1LDKだった。
今あたしがいる部屋にはベッドや布団などが見当たらないので、奥の部屋を寝室として使っているのだろう。
奥の部屋はわからないが、この部屋はそれなりの広さがあり何よりまだ新築かと思わせる程に綺麗だった。
『家賃が高そうだ…』と心の中で呟いた。
「それもそうね。
荷物はいつ取り帰るの?」
「夕方くらいに1度帰るよ」
直美からは「そう」と素っ気ない返事が返ってきたが、心なしか嬉しそうな顔をしていた。
