「お出口は左側です。ご注意下さい」


もうあれからどの位の時間が経っただろうか。


次から次へと駅に到着していく。


目を閉じたのは良いがなかなか眠れずにいた。


そんな中、昨日の出来事がふと明細に頭の中に浮かぶ。



夜中の12時。
普通ならば皆が寝静まっている時間だけれど、
この街は違う。


女の子の呼び込みをするホストのお兄さんや
ビールを片手にご機嫌な様子のサラリーマン。


そして「今からが自分達の時間だ」と言わんばかりにはしゃぐ若者たち。


そんな人々を尻目に、あたしはある場所へと向かう。



雑居ビルや居酒屋等が立ち並ぶこの場所はネオンサインに照らされてキラキラと光り輝いていた。


久々にこの街へとやって来たあたしは胸が高鳴りご機嫌にヒールをカツカツと鳴らす。


そして辿り着いたのは、他とは何ら変わりのないとある雑居ビル。


ビルの中へ入るとすぐにエレベーターがあり、他には自動販売機等があるだけで1階には部屋やお店などは無いようだった。


すぐさまエレベーターに乗り込み、7階のボタンを押すと扉はゆっくりと閉じられ2階…3階…と順調に上昇してゆく。


そして7階のランプが光ると扉は自動的に開かれ同時に爆音で流れる音楽とDJと思われる男性の声が聞こえてくる。


あたしはエレベーターを降りると音のする方へ吸い込まれるかのように、薄暗い通路を歩き出す。