「また家を出るつもりなの?」
直美がそう言いながら残り少ないビールを一気に飲み干し、新たな缶ビールを冷蔵庫から取り出す為に立ち上がる。
「当たり前じゃん。
あんな所でずっと住んでられないよ」
「それもそうね。
家を出る目処は立ってるの?」
幼馴染みなのだから当たり前だが、彼女はあたしの家庭環境の悪さをよく知っていた。
そしてあたしも直美の家庭環境の悪さを良く知っている。
だからこそ、家を出たいと思うあたしの気持ちが痛いほど分かるのだろう。
「全然…
貯金は元旦那との件で全部無くなったし、
また家を出るとなるとそれなりの貯金がないと不安でさ…」
1度家を出たからこそ分かることなのだが、
貯金が無いとあまりにも心細くシビアすぎる生活を送ることになる。
それは何としてでも避けたい事だ。
「ふぅん…
なら、ここで一緒に住む?」
思いもよらない直美からの返答にあたしは思わず「ぅえっ!?」と変な声が出てしまった。
しかし当の本人は真剣な顔をしていた。
どうやら冗談ではないらしい。
