「やっぱり直美の言う通りなのかな。
あたし誰でもいいのかな…」
彼女の涙はすっかり乾いたみたいだけれど、
その変わり今度は頭を抱え込んで悩み出してしまった。
けれどこういう時は大体、私が何を言っても
圭は聞く耳を持たないしそもそも自分の中で
既に答えが見つかっている事が多い。
人の意見をやたらと聞きたがるクセに
結局その意見を全て無視し、最後には自分で
答えを導き出すのが彼女流なのだろう。
周りからしてみれば何とも迷惑な話しだ。
私は悩み続ける圭を無視し、冷蔵庫から缶ビールを1本取り出すと一気に喉へ流し込んだ。
その様子を見ていた圭が「1人だけずるい!あたしも!」と騒ぎ出したのは言うまでもない。
圭に缶ビールを差し出し、ついでに家にあったおつまみを適当に出してあげると少し機嫌が治ったのか美味しそうにおつまみを食べている。
単純と言うか、素直というかとにかく小さい子供のようだ。
けれどこんな圭が過去には旦那のお世話をしていたと思うとすごいもんだと心底感心した。
「そう言えば昨日は、男と一緒だったの?」
圭が思い出したかのように私に尋ねる。
昨日とは圭がクラブを抜け出した後の話だろう
