そんなものなのだろうか。
恋だの愛だのに無頓着な私には良く分からない心境だった。
「でも…」
圭がそこまで言いかけて、言葉を詰まらせる。
「でも、なに?」
そう促しても圭の口から次の言葉はなかなか
出てこなかった。
私もそれ以上は何も言わず、ただ静かな時間が部屋の中に流れる。
先程までゆらゆらと湯気がたっていたキャラメルラテは既に冷めきっていた。
「あたしね…」
ようやく口を開いた彼女の目にはうっすらと
涙が滲んでいた。
「彼なら本当にあたしの事を大切にしてくれるんじゃないかって思ったの…
あたしの事、救ってくれるんじゃないかって期待したの。
でも結局は都合の良い女だったんだよね…」
『恋は盲目』と言うが圭はいつも典型的なそれだった。
愛情深く、少々相手にのめり込みすぎる彼女は
人を信じては裏切られ、最後はいつもこうして泣いている。
