少女達。



「…に到着します。
お出口は左側です。ご注意ください」

微かに聞こえてくるアナウンスの声であたしはハッと目を覚ます。


いつの間にか少し眠ってしまっていたようで、窓の外は既に見慣れた街並みに変わっていた。

幸いにも乗り過ごしてはいないようだけれど、地元の駅はもうすぐそこだった。



あたしは席を立ち扉の前に移動すると携帯をチラリと確認する。



アプリの通知が何件か来ており、他にはメールが1件来ているだけだった。



送り主は直美からだった。


だいたい内容は読まなくても想像がついたがとりあえずメールを開く。



『今日仕事休みでしょ?
私はもう帰ってるから家においでよ』



想像通りの内容にあたしは密かにほくそ笑む。


メールの返信もせずに携帯をそのままカバンに突っ込むと、ちょうど地元の駅へと到着する。



あたしは電車から飛び出すと急ぎ足で改札をすり抜け、自分の家とは真逆の方へ走り出す。


早く直美に会いたい。

聞いて欲しいことが沢山ある。


あたしはすり減っていくヒールも気にせず走り続けた。