「……………」




俺はいつも羨ましかった。


彼女のまっすぐさが、正直さが。


そこら中に広がっている濁った青なんかまるで知らないというような、その純粋さが、俺は羨ましくて、妬ましくて、仕方なかった。


だけど、それは勘違いで。


麗奈ちゃんは、自分の周りにある濁った青も、俺の誤魔化しだらけの色にも、ちゃんと気づいてたんだ。

それでも、この子は。



「....え、ちょ、何泣いてんの」


ふと顔を上げた麗奈ちゃんが、ぎょっとした顔で俺を見た。


気づけばぼたぼたと涙が出ていて、俺も焦った。麗奈ちゃんは戸惑った顔で、俺の目元を袖でぬぐう。


なにガチ泣きしてんだよ俺。

他の人にバレないように、急いで涙を止める。やべえ、どうかしてる。