振りかぶった手は空中で静止、目の前には年下と思えない、妖艶な笑みを浮かべる男。 まるで手品のような雰囲気の豹変ぶりにあたしは一歩後ずさる。 「あれ、先輩俺を捕まえて音楽室に連れて行かないと」 ほら、と一気に距離を詰められ腕を引っ張られて あっという間に腕という名の檻の中。 彼の遅刻理由は甘い甘い理由でした。