君のいない冬。




この学校の図書室は利用者が少ない


ほぼ物置状態となっている





話す人がいなければ


物音ひとつ聞こえない


その沈黙を破ったのは絵梨花だった。






「……これ。」



そう言って差し出された1冊の本







「前、映画行きたがってたけど



今は受験生なんだから、これで我慢しなよ」





ふいっと目線を逸らしながらそう言った


絵梨花の頬は赤く染まっていて






少し素っ気ない態度も



やっぱり可愛いなって思った。