この学校の図書室は利用者が少ない ほぼ物置状態となっている 話す人がいなければ 物音ひとつ聞こえない その沈黙を破ったのは絵梨花だった。 「……これ。」 そう言って差し出された1冊の本 「前、映画行きたがってたけど 今は受験生なんだから、これで我慢しなよ」 ふいっと目線を逸らしながらそう言った 絵梨花の頬は赤く染まっていて 少し素っ気ない態度も やっぱり可愛いなって思った。