ハッキリと言われたあたしはシュンと肩を落として、お菓子を口に運んだ。

「幸、あんたは4人の中で1番バカなんだから。テストだって、あんたが1番低いでしょ?」

あたしは高校に入って芽衣たちと遊ぶばっかりをしているせいで中学の時からガクンッと学力が落ちた。

芽衣に負けるのは、まだ納得出来るけど…チャラチャラしてる直哉と女をとっかえひっかえしてる京介に勝てないことには納得出来ない。

いつの間に勉強しているのか…。
気になって仕方がない。

「芽衣、これ」

京介の手には小さな紙切れが一枚、半分に折られてヒラヒラとしている。

「何これ」

「アド」

京介の手から紙切れを受け取り、芽衣は開いた。

アドと携帯番号と名前が書いてある。

【青波 海】


「アオバ カイ…?」

芽衣がそう呟くと直哉はケラケラと笑い、訂正するように付け足した。

「違う。ウミ」

「え…男?」

あたしはびっくりして言葉が出なかった。

入学した時から注目されてる、カッコいい方に入る海の存在を知らないことに驚いた。

「芽衣、知らないの?海くんカッコいいよ?」

「知らない…」

芽衣が知らないなんて槍が降るんじゃないかってくらい有り得ない。

「海見る?」

直哉はそそくさと携帯を開いて、女の子と同じような早さでカチカチと弄る。