「分かるよ」

「今何してんの?」

呆れた声が受話器から聞こえて来る。

「芽衣んち」

「…あーまじ?行くわ」

あたしは、分かった、とだけ返事をして切られた電話の説明を芽衣にした。

「来るって…いいけど」

渋々了承をした芽衣だった。

しばらくすると、玄関のチャイムが鳴る音がして芽衣は部屋の窓から顔を出すと、入って、と京介と直哉に叫んだ。

階段を上がって来るドスドスと言う音が聞こえて、次の瞬間に部屋のドアが開いた。

「サボってんなよ、バカ」

ドアを開けるなり第一声が憎たらしい京介の発言で、どう考えてもその視線はあたしに向けられている物だった。

「あたしオンリー?」

自分を指差して、顔を歪めて京介を少し睨んだ。

「当たり前」

京介よりもっと声の高いあたしの隣に座るシャム猫のような美人な奴が威張ってあたしに言う。