100年分の恋の言葉

よく分からないけど嬉しくなった。

廊下にいる皆が席に着きだした。

「あたし有名かあ~」

ふんふんと鼻歌を歌う芽衣は、可愛いから有名、と言われて上機嫌だ。

やがて全員席に着き、担任が来るまでの時間を賑やかに過ごす。

あたしはというと、机に肘を付いて顎を手のひらに置き、小さくため息を吐いた。

「なーにため息吐いてるのよ」

隣の席の芽衣が浮かない表情のあたしの顔を覗き込む。

さっきから、原くんの白い歯を見せて笑う顔が頭からずっと離れない。

「幸せ逃げても知らない」

「もう逃げてる」

即答に近い早さであたしは言った。

「ばか言わないの!そう言えば、原くん可愛いよね」

原くんが…?
何処が可愛いのか分からない。

「う、うん…」

なのにあたしは芽衣に話を合わせる。
何度して来ただろう。
あたしはもう話を合わせる達人だ。

いつになっても、自分の意見が言えない。