100年分の恋の言葉

「田中さんだっけ?」

「知ってたんだ」

女のあたしでも好きになっちゃいそうな愛着のある明るくて可愛い笑顔をポロッと零した芽衣。

気は誰よりも強いのに、こんな時の芽衣を見ると、柔らかい雰囲気の女の子オーラを醸し出す。

「知ってるっつか、B組で可愛いって有名やしな」

「ほんと~?」

アハッと優しく笑い、照れたように聞き返す。


そりゃあ、こんなに可愛い芽衣が有名にならないハズがない。

キーンコーンカーンコーン――。

あまり話をしないまま、チャイムが大きく鳴り響いた。

「俺、戻るわ。じゃあな、中野」

原くんは軽く手を振りながら隣の教室へ入って行った。

……芽衣には、じゃあな、って言わなかったね。原くん。


中野って、初めて言ってくれたね。