式は無事に終わった。


そして入学最初の一ヵ月は、学校に馴れることに精一杯で、あっという間に5月になった。

友達も男女問わずある程度出来た。

「もー、幸ってば聞いてんの?」

前の席に座り体をこっちに向けて話掛けられた。

芽衣は頬を膨らましてあたしを呆れた目で見た。


田中 芽衣――…。

ナチュラルメイクで癖毛だと言うねこっ毛がなんとも似合っていてシャム猫のような印象だ。

「ごめん、ボーッとしてた」

あたしは不貞腐れる芽衣に笑顔を浮かべた。

「幸は本当ノホホンとしてるよね」