【短】セント・ミステイク

右手首を斜めに上げられて爪先立ちになった私のすぐ目の前で、蜂谷が真剣な眼差しを私に向けていた。


「このチョコレート、お前の?」


「そ、そんなのどうだっていいでしょう……!?ってゆーか離してよ!!」


体勢が体勢なので、いつもよりずっと蜂谷との距離が近い。


「……嫌だ。お前が泣いてた原因って、このチョコレートあげる相手にあんのか?」


失恋したのにドキドキしちゃっていると、ズバリ図星をさされた。


反射的にグッ…っと唇を結ぶ。


何も言う気なんて無かったのに、コイツはそれだけで理解してしまった様だった。