【短】セント・ミステイク

「蜂谷お願い、離して………」


とうとう半ば懇願する様に訴えると、蜂谷の目線がフッと下に降りて行った。


「コレ…チョコ?」


「あっ……」


蜂谷が拾い上げたのは、さっきの反動で落ちた私が作ったトリュフ入りの箱。


渡したかった人の手元にようやく渡ったのに、もう全てが遅い。


「嫌だ……返して、返してよっ!!」


私は自由になった両手で、チョコを取り返そうとした。


が………


――――グイッ!


「ワッ……!?」


今度は手首を掴まれ、そのまま思いっきり上に引き上げられる。


「なぁ、鷲森」