「大きくなれば、白馬に乗った王子様が迎えに来てくれる」
なんて、結婚適齢期になった今では信じてはいないけど子どもの頃は本気で信じてた。

大好きな芸能人のような、スタイルもよくて白いタキシードの似合う、そんな王子様がいつか現れると。



でも成長し、周りにそんな異性が滅多にいないことに気づいてからは諦めていた。告白されるのはダメ男ばっかりだったし。

やっぱり隣にいるのは、冴えない男。特別かっこいいわけでも、スタイルがいいわけでもない。それでもわたしの全部を包み込んでくれる、優しい人。どんなに疲れていても、仕事がうまくいかなくて八つ当たりした時もそっと寄り添ってくれる、この上なく素敵な人。




理想の白いタキシードは似合わないけれど、これからの人生を共にするにはわたしにとってもったいないくらい。


いつもは照れて言えないけど、誓いのキスの今なら言える。

「ただあなただけを愛してる」


【完】2016.2.7