ー鈴華side ー
今日も海崎君が来た。
びっくりした。
いつも、連絡無しでくるから……。
まぁ、私がスマホ持っていないのが悪いんだけど。
パジャマでも新調しておくんだった。
「病気、治らないのか?」
「うん、この病気とは一生付き合わないといけないの。でも、先生は良くなってきているって言ってた。外出届が出せるかもしれないって」
「それは良かったな」
「この前は大丈夫でしたか?お仕事間に合いましたか?」
この前、急いで病室出ていったから……。
「まぁ」
良かった。
安心した。
「準備できたよ‼飲み物はコーヒーか紅茶しかないけど」
菜々美さんがお皿とティーカップを持ってきた。
「菜々美さん、ありがとうございます」
「海崎君も食べていく?」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「じゃあ、3人で食べよう!!」
3人でケーキを食べる事になった。
「美味しい‼」
何これ、美味しい‼
私のは、チョコケーキで、甘さ抑えめで美味しいんだよね。
「これ、美味しいじゃん!!海崎君やるぅ~!!」
菜々美さんが食べているのは、フルーツのタルトだ。
なんか幸せそうに食べるなぁ。
2人のも、美味しそう。
あれ?海崎君、全然食べてない。
ショートケーキ、一番美味しそうなのに……。
コーヒーばっかり飲んでいる。
あれ?もしかして……
「海崎君って、甘いもの嫌い?」
ゴホッゴホッゴホ
海崎君がむせちゃった。
どうしよう……。
「海崎君、大丈夫!?」
菜々美さんが背中をさすっている。
「大丈夫です。菜々美さん、ありがとう」
この動揺は、本当に甘いもの嫌いなんだ。
無理させちゃったかなぁ?
「あの、海崎君!私のチョコケーキあげる。こっちの方が甘くないし……」
海崎君のためには、こっちの方がましだよね……。
「ありがとう」
「いや、別に……」
「代わりに俺の食べる?」
えっ、そんな事……。
「いいじゃん!食べちゃえ!!」
菜々美さんそんな事言わないでよ……。
ますます断りずらいよ……。
「じゃあ、いただきます」
海崎君は、チョコケーキを食べた。
ちょちょちょっとストープ!!
私のチョコケーキが………。
あげるとは言ったけど……。
「なんだ、ショートケーキ食べないのか?」
えっ、ショートケーキ……。
分かりました。食べればいいんでしょ‼
なんか恥ずかしい。
私は一口、ショートケーキを食べた。
ショートケーキの甘さがいつもより甘くなった。