中庭は暖かいのか今日はいつもより人が多い。
「あれ、鈴華ちゃん?おはよう!今日は天気いいもんねー」
話しかけてきたのは、看護士の菜々美さん。
私の病室に来てくれて、身の回りの世話をしてくれる気さくで、優しい人だ。
「菜々美さん!おはようございます。ちょっと桜を見に来て……」
「今の時期綺麗だもんねー」
「あっ、そうだ!今日咲良ちゃんの誕生日だよねー。ここだけの話、サプライズパーティーするらしいよ」
「そうなんですか!ちょうど売店でプレゼント買おうとしていたところなんですよ」
「あー!!もうこんな時間。鈴華ちゃん、もうすぐサプライズパーティーは始
まっちゃうよ!」
「プレゼント、花束でいいよね?私買っといてあげるよ!」
「でも……」
菜々美さんにこんなことさせる訳には……
「大丈夫だって!咲良ちゃんの好みなんて鈴華ちゃんより私の方が知っているから!!さぁ、速くしないと始まっちゃうよ!」
菜々美さんに背中を押され、私ははや歩きで病棟に戻った。