佐伯くんの好きなヒト






『羽柴ミユです。よろしくね』



ごめんな、ミユ。


俺なんかのために、そんなに辛い嘘吐かせて。





こんなに尽くしてくれてるのに、俺は何ひとつ返してやれてない。


寧ろ悲しい思いさせてばかりだ。








***




「うわ。お前サイテー」

「…わかってるって」



案の定、次の日克哉に昨日のことを話せばそう言われる始末。




俺が昔っから美優を好きだと知っていた克哉には、ミユとの付き合いのキッカケもすべて話してある。



美優をどれほど想ってきたかを知ってる克哉だから、この最低な付き合いにはまだ目を瞑ってくれていた。


が、昨日のことに関してはそうはいかない。