「その…名前のこと、なんでミユキって…?」


語尾がどんどん小さくなっていく自分の声が情けない。




恐る恐る聞けば、佐伯くんは「あぁ」なんて呑気に呟いた。




「だってミユの漢字って、ミユキとも読めるでしょ?」

「……へ」




本名がバレてしまっていたんではないか。そんな私のドキドキを、彼はサラッと覆してみせた。




「 "深い雪"って書いてミユでしょ?珍しいよね、普通はミユキって読むのに」

「……」



よかった。バレてない。


そう思うのに、どこか複雑なのはなんでだろうか。