佐伯くんの好きなヒト






そして連れてこられたのは、学内にあるちょっとした外広場。




「ごめんな。急に引っ張っちゃって」


そこに着いた瞬間に、佐伯くんはパッと私の腕を離してそう言った。




「あ、いえ…大丈夫、です」


何故かしどろもどろになってしまう自分が情けない。



そんな様子の私を見て、佐伯くんは気まずそうに笑ってみせた。




「そうだよな。俺あんなこと言っちゃったし。それなのに失恋会とか、混乱するよな」

「…ごめんなさい」

「いや、俺が悪いんだって。君にはちゃんと話すよ」



そう言った佐伯くんは、近くのベンチに座って隣をポンポンと叩く。


私もそこに腰を下ろしたのを確認すると、彼はゆっくりと話し出した。