佐伯くんの好きなヒト




「な、なっちゃん声大きい…」

『そりゃ大きくもなるわよ!お手洗いとか言って何分経ってると思ってるの ⁉︎ 心配したんだからね!』

「ご、ごめん…。今戻るから」



凄い勢いで押してくるなっちゃんになんとか謝って、とりあえずこの場は電話を切った。




心配性のなっちゃんは、よくこうして電話をしてくる。


たまに怒ったのが怖いと思う時もあるけど、私を思ってくれてのことだから嬉しいとも思うわけで。




「てことでごめんなさい佐伯くん!私戻るね……って、えっ ⁉︎」


早くなっちゃんの所に戻ろうと踵を返すと、グッと佐伯くんに手首を掴まれた。





「さ、佐伯くん…?」


驚いて目を向ける私に対して、彼も何故か驚いたように目を見開いて私を見つめていて。