佐伯くんの好きなヒト





肩が上下して息が上がってるのが分かる。




走って来てくれたの…?


そんな淡い期待が膨らんで、慌ててその考えをかき消した。





「美優さんは?置いてきたの?」

「ミユ、さっきの何?」


「なんで?そんなに私が言ったことが嫌だった?」

「ねぇ、ミユ。聞いて」


「もういいでしょ?全部言ったこと取り消すから…」



「深雪!!」





突然大声を出した佐伯くんに肩がビクッと震えた。