愛してる、愛されてる

「…あれ」


亜紀ちゃん、誰かと話してる?


人が多くてよく見えないけど、口が動いているから、多分誰かいる。


「…あー、太一か」


亜紀ちゃんと喋っていたのは、青のハチマキをした太一だった。


ちょっとキツそうな見た目の亜紀ちゃんと話してるから、みんな遠目でだけど、太一を見つめてる女の子はけっこう多い。


そして、亜紀ちゃんを見ている男の子もけっこう多い。


行きにくい……。


私の幼なじみ3人は、けっこう人目をひく見た目をしているから、こういう時はちょっと困る。


その時、パッと太一と目が合って、手を振られる。