星の街に君と私

起こしたら申し訳ないと思い、借りていたブランケットをそろりと膝にかけた。耳元で

「ありがとう」

そう伝えられたから、私にしてはまぁまぁの出来といえばいいのだろうか。

多分、彼が目を覚ましていたらまともに会話をできなかっただろう。
もう少し眺めていたいと思ったが、もう、遅い。きっと家では、いつも通りに時間が流れ、私の帰りを待っている。
ちょっぴり特別な日なのに、周りの時の流れはいつもとかわらない。当たり前だという時の流れにさえ、私は恨めしいと感じた。

階段を1人降りて、靴箱へ向かった。彼が追いかけてこないかな、なんて淡い期待をしたのは少女漫画の読みすぎなのかもしれない。

自分が、少しずつ少しずつ
桃色に染まっていく。
綺麗なグラデーションでゆっくりゆっくりと。


戸惑いながらも、確実に染まっていく。


新鮮な気持ちで、家への帰路についた。周りの街灯はしっかりと私の走る道を照らし、等間隔で並んでいる。鉄の冷たさを表に表しながらも、その光は優しさで満ちていた。