私は端田桜(Hashida Sakura)
高校2年生

「ガラガラガラ」

……シーン……

私は学校の嫌われ者

「親友の男を奪った」
そんなレッテルを貼られている

もちろんそんな事実は無い
それは親友の罠だったらしい
それにまんまとハマったってわけ

ちなみに親友の名前は早瀬美穂
(Hayase Miho)
ってもう親友でも何でもないけど

初めの方は傷ついてたっけ
それなりに泣いたりもした
でももうさすがに慣れた
親友に裏切られて以来
人間を信じるのはやめた

1人を除いては…



「端田さん、今日も来たの?」
「美穂の男奪っておいて、よく学校来れるね」
「美穂可哀想」

この子達はクラスのギャルグループ
相澤雅(Aizawa Miyabi)
武井美幸(Takei Miyuki)
岡崎愛子(Okazaki Aiko)

所詮は
「美穂の男を奪った」
これを利用して、私をいじめたいだけだと思う
もともと私の事が気に入らなかったらしいし

「フッ……バカバカしい……」
「はあ?何笑ってんの?ちょっと来いよ!」

腕を捕まれ、無理やりトイレに連れて行かれる

トイレに連れて行かれたら
殴る蹴るは当たり前
水をかけられたり
いわゆる完全な「いじめ」だ。

「もう学校来るなよ!!!!」
「目障りなんだよ!!」
「人の男奪うなんて最低!!」

この現場に肝心の美穂はいない
自分はあえて手を汚さないんだろう
何て汚い女…


「ちょっと何してんの!?離れなさい!!」

……私が信用してるたった1人の存在……

「あんた達こんな事して恥ずかしくないわけ?
毎日毎日いい加減にしなさいよ!!」

「…チッ…またかよ…行こう…」
先程までの暴行を途端にやめて
そそくさとトイレを去る

……お姉ちゃん……

「桜、大丈夫?毎日毎日本当に何なのよ…」
「大丈夫、毎日毎日ごめんね」
「何言ってんの!大事な妹がいじめられてるの
黙って見てられるわけないでしょ!また何かあったらすぐ連絡してね!飛んで行くから」
「ありがとう…」

私の姉、端田咲(Hashida Saki)
正直お姉ちゃんがいてくれるから
毎日学校に来れているのかもしれない
私は強がっているだけで、所詮1人では
何も出来ない弱い人間なんだと思う

お姉ちゃんがいないと私は何もできないんだ

「じゃあ桜、また後でね」
「うん!!」
「あ、そうだ!今日は帰る時間同じだし、どこかで一緒にお茶してから帰ろうか??」
「したい!!」
「うん、じゃあ終わったら桜の教室行くね」
「ありがとう、待ってるね!」

さて、そろそろ教室に戻らなきゃ
今日は帰りにお姉ちゃんとお茶かー
楽しみだな…








「桜ー!!」
「お姉ちゃん!!」
「お疲れ様、あれからまた
変な事されてない?」
「うん、大丈夫だよ、ありがとう」
「それならよかった。じゃあ行こう!

お姉ちゃんと帰るのは久しぶりだな
いつもは帰る時間がなかなか合わないから
バラバラだったから嬉しい

2人で相談した末、学校から徒歩5分くらいの
小さなカフェに入った
メルヘンな雰囲気でとても可愛い

「桜は何飲むー?」
「うーん…私はアイスティーがいいかな」
「分かった!」

「すいません、アイスティー2つ頂けますか」
「はい、レモンかミルクはお付けしますか?」
「いえ、ストレートで」
「かしこまりました、少々お待ち下さい」

「桜とこんな風に話すの、久しぶりだね」
「そうだねー、お姉ちゃん忙しそうだったし」
「受験生だからね…桜は行きたい大学とか、夢とかもう考えてるの?」
「えっ…」

そういえば夢なんて考えた事なかったな…
何だろう…ズバ抜けて勉強ができるわけでもなければこれといった特技もない。なんだろう…

「…お嫁さん…とか…?」
「お嫁さん!?はは(笑)桜らしくていいね」
「バカにしてるでしょー!!」
「してないしてない(笑)」
「してる!!絶対してる!!」
「してないってー(笑)素敵なお相手が現れるといいね!!」

素敵なお相手なんて現れるのかな…
私は高校2年生にもなって恋愛経験ゼロ
というかあんまり興味がなかった
そろそろ本格的にまずいかな…(笑)

この後もお互いに他愛もない話をしてカフェを出た

「じゃあそろそろ帰ろうか」
「うん!!」

久々に心から笑った気がするな
やっぱりお姉ちゃんが大好き