私は急いでメガネをつけた。

そして、

「失礼しましたっ」

と一言言って教室から走り出そうとすると何かにつまずいた。

琳君は「あっ!」と声を漏らす。

顔を上げると、私を蔑む目で見る、右足を出した女子が立っていた。

どうやら、この子の足につまずいたようだ。

「あのっ、ごめんなさ……」

「あんたさ、何調子に乗ってんの?ぶーちゃんのくせに佐久山君に近づくとかありえない。あんたぶーちゃんって愛称だと思った?そんなわけ無いでしょ。ゲロ豚にそっくりなのよ!あんた!さっさとその醜い姿消してくれない?」

冷めた鋭い目で見てくる女子。

愛称だと思ったことはなかった。態度はひどかったし、いじめを受けていたようなものだ。いや、もしかしたらいじめだったかもしれない。

「あのっ…ごめっ……」

私が謝ろうとした時。

「おい。お前何いってんの?さっきから黙って聞いてりゃ、ゲロ豚だの醜いだのって、お前の方が醜いから。性格ブスって奴だよな。お前亜芽の事なんも知らないくせに、ウダウダ言ってんじゃねーぞ」

琳君はその子を怒りに満ちた目で睨む。

「りっ、琳君そんなゲロ豚をかばうの?」

「ゲロ豚はてめーだ。よく見てろ」