チョコよりクッキー


「ありがとう」

受け取って紙袋の中を覗いてみると、可愛くラッピングされた袋が入ってて。その中身はクッキーだった。

「良かったー。他の子にあげてるの見たから、私貰えないのかな?って。嫌われてる?って、不安だったの。図々しいよね、私」

ふざけたように言って笑う。

「いや!そんなこと全然ないから!ごめん、タイミングが……」
「ううん。ありがとう。嬉しい」


本当に、嬉しい。


例えそれが、ただのクラスメートへのお返しだとしても。



「これから、彼女と一緒に帰るの?」

「……えっ……?」

「今日部活ないもんね。いーなー。デート出来るじゃん」
「えっ、何で知ってんの?」

彼のたった1言に胸が締めつけられる。
自分から仕掛けたくせに。

そっか。やっぱり、付き合ってるんだね。
私、本当に、完全に失恋しちゃった……。
自分から失恋しにいったようなものだけど……。

「……って、違う!ちょっと待って!」

「えっ……?」

焦ったような声。
不思議に思ってると。

「彼女って、誰?」

怪訝な顔で彼が私を見た。

「……えっ……?」

「確かに、今日は部活ないけど!でも俺、彼女なんていないから!」


…………彼女が……いない…………?

え。待って。どういうこと?


付き合ってないの……?