チョコよりクッキー


「……………………」

何の反応もない真也が気になって顔を上げると。

「……ちょっ……、見ないで……」

片手で顔を隠してしまった。

「俺……、マジで嬉しいんだけど……!!」

隙間から見えたのは、真也の本当に嬉しそうな顔。

その顔に、余計嬉しくなる。


「千夏。さっき言った通り、俺、今日部活ないんだけど。このあと暇?」
「うん」
「どっか寄って帰ろ」
「うん!」



校舎から、私たちは手を繋いで出る。

左手には君の大きな手。

右手には君からのプレゼント。

君の想いがたくさん詰まったクッキー。


私、馬鹿だったなぁ……。
クッキーよりもチョコが特別だなんて。
チョコにあんなにこだわって。

クッキーのほうが特別だよ。

だって、君がくれたから。

私の恋が叶った、素敵なお菓子だから。


そうだよ。
私には、やっぱり。
チョコよりクッキーのほうがあってる。