チョコよりクッキー


「千夏。改めてちゃんと言う」

少し赤みの引いた頬で、真剣な目をして真也が私を見る。


「ずっと前から千夏が好きだった。俺と、付き合って下さい」


私はずっと、こんな日を夢見てた。

真也に好きだって言って貰いたかった。


私の目からは自然と涙が零れ落ちた。


「千夏。返事、聞かせて」

返事なんて、決まってる。


「私……、私、本当はクッキー渡すつもりなんてなかったの……」

「…………」

「クッキーじゃなくて、チョコ……渡したかった……。それで、その時、真也に、告白したかった」

だけど、元カノと一緒にいる真也を見て、失恋したと思ったから、怖くて言えなかった。
でも今なら……言える……。

「……遅くなったけど、私も、真也が好き……!ぜひともお願いします……」

頭を下げる。


1ヶ月遅れの、私の告白。


チョコも、クッキーすらもないけど、だけどそれより大事な私の想いを渡せた。