チョコよりクッキー


「…………って、あ〜!違う!」

え……。やっぱ違うの……?

「って、違わないけど!違わないけど違う!」

……どっち……?

「あ〜、もう!」

急に頭を掻きむしって、しゃがみ込む。

「本当はもっと格好良く告るつもりだったのに!俺、ダッサ……!!」

……どっちにしても、告白してくれるつもりだったの……?

「……ダサくないよ。……格好良いよ……」

私の言葉に反応して頭を上げた真也は、私に負けないくらい真っ赤な顔をしていた。

「……俺さ。クラスのみんなに配ってるって分かってたけど、何も言われなかったし、義理だって分かってたけど。でも、どっかでちょっと期待しててさ……」

下を見ながらぽつぽつと話す真也。

「千夏からのバレンタイン、すっごい嬉しかった」

あんなに普通に笑ってたのに、実は喜んでくれてたの?

「ホワイトデーにお返しして、そん時、告ろうって決めてた……」

急に勢いよく立ち上がった真也は、私が持つ紙袋を指差して、赤い顔のまま言った。

「それも、千夏のだけ特別だから、他の子と違うからあとで渡そうと思ってたの!渡した時に告るつもりだったし!」

「……私のだけ、特別なの……?」
みんなと、違うの?

「えっ?知ってたんじゃないの?俺が他の子にあげてるの見てたんでしょ?」
「見てたけど、中身までそんなちゃんと見てないよ……」
「…………あー、俺はまたダサいことを……っ!!」

頭を抱えて唸る真也に笑ってしまう。