「親が認めた人。」
「何それ、見合いでもするの?」
「そうかもね。」

親に決められた通りに生きて、親が認めた人と結婚する。
それが私の人生なのだ。

「大変だな、その人も。」
「そうね。まあ私としては結婚なんてしばらく考えたくもないけど。」

「どうして?普通の女の人だったら、28歳は周りを見て結婚を意識するもんじゃない?」
「私が普通じゃないから。」
「何それ。」

頼んだお酒をマスターがグラスに注いでくれて、それを口に含んだ。

少し苦味のある味がまた良い。