ココアの甘さ

「美華、ほら。
お相手の方が来たわよ。」

はっとして気持ちを切り替えた。

いけない、今は余計なことを考えてる場合じゃなかった。

「遅くなり申し訳ありませんでした。突然取引先から連絡が入ってしまったもので。」



なん、で。



「いえいえ、約束の時間にはなっていないので謝らないでください。」



どうして、いるの。



「ご挨拶が遅れました。
吉永製薬会社に勤めています、吉永恵介と申します。
よろしくお願いします。」



違う、彼じゃない。



けれど私の前に立つのはいつもより少し見た目を整えた、恵介だった。